みんなの相談室と学習塾「小さな学校・チェリーアンドハッピー」

何が幸いするかわからない。

私はだいたい先生当たりが良かった。
しかし、小学校5，6年生の先生は、あたり良かったその分の相殺に当たるほどの大外れ、いや、大当たりだったに違いない。

あれって、教室に、あるいは指導の中に暴力があったということだと思う。
もちろんモラハラなんて、朝飯前。
尋常でないえこひいき。
しかも勝気な母は、最初の家庭訪問でやらかした。
大人しいですね、全然、話しかけてこない(いや、あなたには話しかけられないんだって！)。
と言われて、幾分カチンと来た母は、
そうですか？今までの先生とは普通にしゃべってましたよ！
と言ったらしい。
どうも校長先生の息子さんで、弟さんが良くできたお金持ちの土地持ちの長男であるその先生は、劣等感を身に着けて歩いておられるような方で、私が笑っただけで、何？バカにしてー！
と言われる有様で、怖くて、しゃべれなくなったのである。
私の発言を、脅迫、と表現されたときからは、もう絶対に話せなくなった。

それから私は、何年も、男性が怖くなった。
一方、祖父や伯父などから可愛がられてきた分、人懐こくもあり、その先生怖さに、ほかの方々からの愛情を感じる前に、怖さが先立ってきたような青春時代を過ごした。
組み立て体操の時に、間違えたと言って、お腹を蹴られた同級生の女の子へ怒りをぶつけた先生の姿は異常だった。

ところが、その先生のおかげで、私は、その後勉強をし、教師にもなったと思っている。
その先生は、私を見る目が厳しかった。
だから、何もかも正確でないと、できていないことにされたし、異様にできていないことにされている感じがあった。
大人になってわかるけれど、巧みに、こちらができないことにされていた気がする。
成績表も全く変わってしまった。

そこで、私は、勉強を始めたのである。
本当に姑息な意図で。怒られる要素を全部なくすという目的で。

それに、夏休み、今、生徒と夏の学校のプール開放の話をしていて思い出したのだけれど、今、私が、幾分かでも泳げるようになったのは、その先生のおかげである。
夏休み、最低でも15回は出席するように・・・。
よほど泳ぐのが好きな子ででもないと行ける回数ではなかった。
でも、なんとか雨の日で行けなかったことを除けば私にしてはたくさん、10回もプールに行った。
それで、ちゃんとクロールを泳げるようになった。

でも、あれこれあった。
全員見ていて、みんなが待っているのに、クロールで向こう岸に着いた途端、先生が、遅いけど、形は一番きれい・・・、と長々と褒めてくれた。
いったい何？と思ったけれど、元の岸で待たされている生徒は、何があったのだろう・・・？という話になるし、そこでする話ではない。
思いっきりできないレッテル貼られているみたいだった。
それも全学年の授業中。

えらく長くその場面をクロールを褒められた場面として覚えていたけれど、すごく注目を浴びてしまった。

もしかしたら、のレベルで感情論だったのかな？と思い出す。
きっと嫌だったんだろうな。そういうことが。
でも、その時は誰にも言えなかったのだろうと思う。

昭和の時代。
先生のことを訴えても、母が心配するだけだ、との思いもあった。
見返すというほどでなくても、勉強して、認められたい気持ちくらいはあったのだろう。

最後の成績は思い切りよかった。

最近、母に言われた。
結構人生の中で思い出のある人物である。
その先生も私の進路を妹に聞いたりして、気になっていたのだろうと思う。

あんた、ちゃんとあの先生に勝ったんやよ。打ち克ったんやよ。
先生が何しはってたとしても、ちゃんと勉強して、先生に何も言われへんようにして卒業したでしょ？
と言われた。

グレーなのである。
そういう人のやり方って、言い訳できるようになっている。
それに、私があまりにまっすぐ受け止めようとするから、なんとか裏が見えるまであれこれされていたような気がする。
いい子ぶってる、と友達に言われたこともあったけれど、それが当時の私のクラスでの生きる術だった。

本当に怖かった。
どこで地雷を踏むか、全く予想がつかなかった。

お気に入りの子が忘れ物したらお咎めなし。
私などが、たまーに忘れたときは、恐ろしい説教が待っていた。
ここぞとばかり。
泥棒までたとえに出して、説教された。
ある程度、笑いながら、そうですね・・・、というように聞いていた。

思い出にある、なんて、負けているようで嫌だけれど、それに、ちょっとはバカにしてもよさそうなものなのだけれど、そうもいかないのが私の性格で、でも、乗り越えたからいいか・・・、とも思いつつ、そういう構図には敏感になり、生徒さんの話を聞いて、あれっという勘は鋭くなっている気がする。

何かに役に立ってくれている、あの人・・・。