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その人らしさの発現

よく言われるのは、大きなことをするときには失敗しない。小さなところでミスをするものだ、ということだ。
翻って言ってみるなら、大きなことをするときにその人柄が表れるのではなくて、小さなところにこそ、その人らしさが表れるような気がする。

あるいは、普段の生活の中では、普通の人が、普通ではない状態になったときにこそ、その人の本質が表れるということもあるだろう。

だから、人を見るには、逆境の時がいい、という漢文を読んだことがある。さもありなん、である。
順境の時など、誰だっていい人でいられる。もしかしたら、ちょっとばかり調子に乗っていたとしても。

けれど、逆境の時、あるいは、相手が、ちょっと調子が悪くなったときに、どういう対応をするか?ということで、その人自身が表れると思う。

逆境の時ににっこり笑って明るく乗り越えられる人は、それなりの人だ。

かつて、ピアノの先生がおっしゃっていた。
逆境の時に、いつまでもそのことを言っていたら、最初は同情したり、思いやったりしてくれた人もいい加減、嫌になってくる。でも、逆境に居ながら、一生懸命明るく生きていたら、大変なのに頑張ってるな、けなげだな、と周りも認めてくれる、と。

仕事をしているから、いろんな人のいろんな姿を見せてもらえる。
ときには若いころの自分を振り返るきっかけを与えてもらえることもある。

かつて、ある若者の相談を受けていたとき、ちょっとだけ自分の経験談を話したら、
そんな経験、自分にも軽くありますよ!
と返されて、驚いた。

若いときのことと、それなりに大人になり、経験も積んだ人間のその辛い経験が等価のものになるだろうか・・・?
しかも、年長者が、心配して言ってくれている言葉に対して、軽くあります、とは、それ相当に上から目線である。

何にも伝えられなかった自分の無力感と共に、今は、何を言っても突破口にはならないだろうな、と自分の力の限界を認めた。

その人の人生のおいて、しかるべき出会いがあり、しかるべき出来事がある。
その人に必要なことがその時怒っているのかもしれない。

その人の苦悩も、そばにいて何もしてあげることができなくても、その人にとっての必然があるのかもしれない。

ただ言える。
小さなところにこそ、その人が表れる。
ああ、○○さんやねえ、○○さんらしいねえ、という、その人独特のものって、本当に小さなところに現れるものだと思う。

公開:2022/05/14 最終更新:2022/05/14